広報・アウトリーチ活動

計算生命科学の基礎8(2021)

生命科学と理工学の接点をなす計算生命科学の研究を進めていくための基礎講座として神戸大学計算科学教育センターなどと連携し、学生、大学院生、社会人を対象とした連続講座を公開します。
講義は神戸大学計算科学教育センターより配信し、どこからでも無料でインターネット受講が可能です。

計算生命科学の基礎8(2021)講義の詳細
  チラシ:計算生命科学の基礎8
チラシ:『計算生命科学の基礎8』
(PDF 630KB)


【申込み】
受講登録は神戸大学計算科学教育センター登録ページからお申込みください。
これまでの講義の様子はアーカイブサイトFacebookでご覧いただけます。


計算生命科学の基礎8(2021) 
未来の医療と創薬へつながる生命科学のデータサイエンスとシミュレーション技術[全15回]

日程

2021/10/6~ 2022/2/2 毎週水曜日 17:00~18:30
(ただし、11/3(水・祝)のみ、11/4(木)の講義になります。また、10/6、11/10、12/15は各編のガイダンスのため18:40までとなります。)
■講義スケジュール■
 講義日  講義タイトル  担当講師
 第1編 生命科学のためのデータサイエンスの基礎
 10月6日  機械学習・深層学習と生命科学  中村 周吾(東洋大学 情報連携学部 教授)
 10月13日  遺伝統計学で迫る疾患病態解明、創薬、個別化医療  岡田 随象(大阪大学 大学院医学系研究科 教授)
 10月20日  文献データマイニングの基礎  村松 知成(東京大学 大学院農学生命科学研究科 特任准教授)
 10月27日  結晶学・単粒子解析による分子構造データの基礎  山下 恵太郎(MRC分子生物学研究所(英) Postdoctoral Scientist)
 11月4日   機械学習によるタンパク質立体構造予測  富井 健太郎(産業技術総合研究所 人工知能研究センター 研究チーム長)
 第2編 構造生命科学のための分子シミュレーション
 11月10日  AIを用いた創薬の新展開  大田 雅照(理化学研究所 計算科学研究センター HPC/AI駆動型医薬プラットフォーム部門 AI創薬連携基盤ユニット 上級研究員)
 11月17日  分子軌道認証:データ科学を利用した簡便な反応電子論  常田 貴夫(北海道大学理学部 CREST特別研究員/神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科客員教授)
 11月24日  溶液中における生体関連分子複合系の自由エネルギー解析  松林 伸幸(大阪大学 基礎工学研究科 化学工学領域 教授)
 12月1日  分子モデリング・シミュレーションから見るクロマチンポテンシャル  河野 秀俊(量子科学技術研究開発機構 量子生命科学研究所 生体分子シミュレーショングループ グループリーダー)
 12月8日  インシリコ創薬の基礎と応用  広川 貴次(筑波大学医学医療系 教授)
 第3編 未来をみすえた医療、創薬への応用
 12月15日  電流源推定を用いたヒト脳機能研究  山下 宙人(株式会社国際電気通信基礎技術研究所 脳情報通信総合研究所 室長/理化学研究所 革新知能統合研究センター チームリーダー)
 1月12日  Brain-Computer Interfaceによる脳情報の伝達と修飾  栁澤 琢史(大阪大学 高等共創研究院 教授)
 1月19日  立体構造情報を活用した核酸医薬品・核酸標的低分子医薬品のデザイン  近藤 次郎(上智大学 理工学部 物質生命理工学科 准教授)
 1月26日  命を救う数式  森本 淳(理化学研究所 ロボティクスプロジェクト 人間機械協調研究チーム チームリーダー)
 2月2日  有効なReal World Dataを集積するためのストラテジー  松村 泰志(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター 院長/大阪大学名誉教授・招聘教授(医療情報学担当))
◆講義資料をご覧になるには、事前登録によるパスワードが必要です。

場所

神戸大学計算科学教育センター セミナー室208(神戸大学統合研究拠点2階)
〒650-0047 兵庫県神戸市中央区港島南町7丁目1番48 ポートライナー「京コンピュータ前」駅下車すぐ
※ただし、講師所属先からの<配信のみ>の日は会場での開催はありません。 (学外からはインターネットによる受講が可能)
会場開催があるかどうかは、開催1ヵ月前の状況で変更の可能性もあります。受講前に神戸大学計算科学教育センターのホームページより確認してください。

対象

大学生、大学院生、ポスドク、大学教員、研究所・企業の研究者

講義趣旨

生命のしくみを理解しようとする基礎生物学や人類の未来を担う健康・医療活動と連動しながら発展してきた生命科学の重要性は言うまでもないことでしょう。このような生命科学の発展にはゲノム情報や生体分子の立体構造などのビッグデータを扱うデータサイエンスが貢献しており、ディープラーニングに代表される機械学習や AI により未知の現象の予測をすることが可能となってきました。また様々なデータをシミュレーション技術により解析することによって、生体分子からマクロな生命現象までの多様な階層を定量的に理解することも行われてきています。このような計算生命科学は、お互いが融合することにより基本的な生物学のより進んだ理解から医学・薬学、農学や健康関連分野などのさらなる発展に寄与しています。本講義では以上のように発展してきた計算生命科学の基礎、そしてそれに基づいた現在から未来への医療・創薬に貢献できる知識を提供いたします。日本バイオインフォマティクス学会・CBI 学会の企画協力を得て、生命科学と理工学の学際研究領域である計算生命科学に興味を持たれる方々に、その基礎や現状、将来の展望等を学んでいただくとともに、異分野間の接点や融合研究の面白さを感じていただくことで、この学際的研究分野で活躍する人材の拡充・育成に寄与することを目指しています。

担当講師

中村 周吾(東洋大学 情報連携学部 教授)
岡田 随象(大阪大学 大学院医学系研究科 教授)
村松 知成(東京大学 大学院農学生命科学研究科 特任准教授)
山下 恵太郎(MRC分子生物学研究所(英) Postdoctoral Scientist)
富井 健太郎(産業技術総合研究所 人工知能研究センター 研究チーム長)
大田 雅照(理化学研究所 計算科学研究センター HPC/AI駆動型医薬プラットフォーム部門 AI創薬連携基盤ユニット 上級研究員)
常田 貴夫(北海道大学理学部 CREST特別研究員/神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科客員教授)
松林 伸幸(大阪大学 基礎工学研究科 化学工学領域 教授)
河野 秀俊(量子科学技術研究開発機構 量子生命科学研究所 生体分子シミュレーショングループ グループリーダー)
広川 貴次(筑波大学医学医療系 教授)
山下 宙人(株式会社国際電気通信基礎技術研究所 脳情報通信総合研究所 室長/理化学研究所 革新知能統合研究センター チームリーダー)
栁澤 琢史(大阪大学 高等共創研究院 教授)
近藤 次郎(上智大学 理工学部 物質生命理工学科 准教授)
森本 淳(理化学研究所 ロボティクスプロジェクト 人間機械協調研究チーム チームリーダー)
松村 泰志(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター 院長/大阪大学名誉教授・招聘教授(医療情報学担当))

コーディネーター

伊藤 眞里(医薬基盤・健康・栄養研究所 バイオインフォマティクスプロジェクト 上席研究員)
江口 至洋(神戸大学産官学連携本部 客員教授)
河野 秀俊(量子科学技術研究開発機構 量子生命科学研究所 生体分子シミュレーショングループ グループリーダー)
白井 剛(長浜バイオ大学バイオサイエンス学部 教授)
田中 成典(神戸大学大学院システム情報学研究科 教授)
間島 慶(量子科学技術研究開発機構 量子生命科学研究所 量子生命情報科学グループ 研究員)
森 一郎(神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科 特命教授)
森 義治(神戸大学大学院システム情報学研究科 講師)
八幡 憲明(量子科学技術研究開発機構 量子生命科学研究所 量子生命情報科学グループ グループリーダー)

講義内容


第1編 生命科学のためのデータサイエンスの基礎

【参考図書】
 1.1
・長田直樹,「進化で読み解く バイオインフォマティクス入門」,森北出版,2019
・Raschka,Mirjalili著,福島監訳,「第3版 Python機械学習プログラミング 達人データサイエンティストによる理論と実践」,インプレス,2020
 1.2
・岡田随象,「ゼロから実践する 遺伝統計学セミナー」,羊土社,2020
 1.3
・Steven Bird, Ewan Klein, Edward Loper,萩原 正人 (訳),中山 敬広 (訳),水野 貴明 (訳),「入門 自然言語処理」,オライリージャパン,2010
 1.4
・Gale Rhodes,「Crystallography Made Crystal Clear: A Guide for Users of Macromolecular Models」,Academic Press,2006
・ https://em-learning.com/ (電子顕微鏡単粒子構造解析法の学習)


◆2021.10.6
1.1 機械学習・深層学習と生命科学 <配信のみ><再放送> 【講義資料】
中村 周吾(東洋大学 情報連携学部 教授)

 生命科学分野では、ヒトゲノム計画を端緒として、他分野に先駆けてビッグデータ時代を迎え、ゲノム塩基配列、アミノ酸配列、生体分子立体構造等に機械学習・深層学習の方法を適用するインフォマティクス解析、分子構造に物理化学の手法を適用するシミュレーション解析が行われてきた。本講義では、社会全体に急速に応用が広がった機械学習・深層学習の方法の原理と、それがタンパク質のアミノ酸・立体構造の解析にどのように応用されているのかを、実例を交えて紹介する。


◆2021.10.13
1.2 遺伝統計学で迫る疾患病態解明、創薬、個別化医療 <配信のみ><再放送> 【講義資料】
岡田 随象(大阪大学 大学院医学系研究科 教授)

 遺伝統計学は、遺伝情報と形質情報の因果関係を統計学の観点から検討する学問分野である。数百万人規模の大規模ヒト疾患ゲノム情報を大容量のオミクスデータと分野横断的に解釈し、社会還元するための学問へのニーズが高まっている。細胞組織特異性に着目した疾患病態の解明、メタゲノム・メタボローム解析等の新規オミクス情報層の開拓、機械学習・深層学習など革新的情報処理技術の適用、ゲノム情報に基づく新規創薬の試み、ゲノム個別化医療の社会実装など、遺伝統計学が今後取り組むべき課題を本講演では紹介する。


◆2021.10.20
1.3 文献データマイニングの基礎 <再放送> 【講義資料】
村松 知成(東京大学 大学院農学生命科学研究科 特任准教授)

 文献データマイニングとは、巨大な文献データを用い、その中の個別の対象(単語、熟語、用語)の性質や意味などの情報、あるいは対象間の関係性などを統合的に導き出すことを目指す手法である。手順としては文章の局所領域(文、パラグラフなど)から情報を抽出し文献データ全体にわたって統合する。この手法の概要ならびに約3千万件の医学・生物学文献情報を有するPubMedデータベースを用いた我々の取り組みを紹介する。


◆2021.10.27
1.4 結晶学・単粒子解析による分子構造データの基礎 <配信のみ><再放送> 【講義資料】
山下 恵太郎(MRC分子生物学研究所(英) Postdoctoral Scientist)

 Protein Data Bank (PDB)にはタンパク質・核酸をはじめとする生体高分子の多種多様な立体構造情報が蓄積されている。本講義ではこのうち大部分を占めるX線結晶構造解析と,近年の技術革新により急速に分解能・解析例ともに伸びてきているクライオ電子顕微鏡(単粒子解析法)に焦点を当て説明する。特に、立体構造情報を利用する立場の方々に知っておいて欲しいことについて議論したい。


◆2021.11.4
1.5 機械学習によるタンパク質立体構造予測 <配信のみ><再放送> 【講義資料】
富井 健太郎(産業技術総合研究所 人工知能研究センター 研究チーム長)

 AlphaFold 2の登場により、タンパク質アミノ酸配列からの立体構造予測の精度が格段に向上した。これは、タンパク質の配列および立体構造データの蓄積と、深層学習の発達に負うところが大きい。本講義では、タンパク質立体構造予測の近年の潮流を軸に、立体構造予測法の基礎や立体構造解析/決定への応用などについて紹介する。



第2編 構造生命科学のための分子シミュレーション

【参考図書】
 2.1
・R. Kojima, S. Ishida, M. Ohta, H. Iwata, T. Honma & Y. Okuno, J.“kGCN: a graph-based deep learning framework for chemical structures”, Cheminform., 2020, 12, Article number: 32 Open access:
(kGCNの紹介。マルチモーダルおよびマルチタスク法による活性予測例、説明可能なAI(Explainable AI, XAI)の例・手法説明など)
・大田雅照, 池口満徳, 「タンパク質立体構造に基づく創薬における人工知能技術の応用」, MEDCHEM NEWS Vol.28 No.4 pp175 (2018)
(LINCコンソーシアムにおけるタンパク質立体構造創薬人工知能技術の紹介)
・大田雅照, 「AIを用いた分子立体構造に基づく新規分子構造生成」, CBI学会誌2019年第7巻第2号pp54~ :ホットトピックス(文献紹介)
・“Artificial intelligence in drug design: algorithms, applications, challenges and ethics”, Alya A Arabi, Future Drug Discov., 2021 Open access:最近の review
 2.2
・常田 貴夫, 「密度汎関数法の基礎」, (講談社)
 2.3
・ https://sourceforge.net/p/ermod/wiki/doc-LectureNotes/
・https://sourceforge.net/p/ermod/wiki/doc-Theories/
・Free-energy analysis of protein solvation with all-atom molecular dynamics simulation combined with a theory of solutions, N. Matubayasi, Current Opinion in Structural Biology, 43, 45-54 (2017). DOI: 10.1016/j.sbi.2016.10.005
 2.4
・神谷成敏, 肥後順一, 福西快文, 中村春木, 「タンパク質計算科学 ―基礎と創薬への応用」, 共立出版, 2009
・中野徹, 「エピジェネティクス――新しい生命像をえがく」, 岩波書店, 2014
・ネッサ キャリー, 中山潤一 (訳), 「エピジェネティクス革命」丸善出版,2015
・田村隆明, 浦聖惠(編著), 「遺伝子発現制御機構―クロマチン、転写制御、エピジェネティクス」, 東京化学同人, 2017

◆2021.11.10
2.1 AIを用いた創薬の新展開 <配信のみ><再放送> 【講義資料】
大田 雅照(理化学研究所 計算科学研究センター HPC/AI駆動型医薬プラットフォーム部門 AI創薬連携基盤ユニット 上級研究員)

 深層学習(Deep Learning)を筆頭とする人工知能(Artificial Intelligence, AI)技術は、様々な分野で社会にインパクトを与え、イノベーションを引き起こしつつある。本講義では、創薬、特に活性物質取得から前臨床研究における、その具体的な応用例を示すと共に、その基盤となっている多様なAI技術を紹介する。AIの創薬応用について、理論と応用の両側面から理解することにより、創薬現場において、その具体的応用を発案・実施できるようにすることを狙いとする。


◆2021.11.17
2.2 分子軌道認証:データ科学を利用した簡便な反応電子論 <配信のみ><再放送> 【講義資料】
常田 貴夫(北海道大学理学部 CREST特別研究員/神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科客員教授)

有機電子論やフロンティア軌道論のような反応電子論は、電子の動きをもとに反応の駆動要因を解釈する簡便な手法である。定量的軌道エネルギーをもとにこれを展開した反応性軌道エネルギー論は、反応を駆動する反応性軌道を特定できる。最近、この理論に機械学習を導入し、反応前後の情報だけで分子軌道の対応関係を求める分子軌道認証を開発した。本講義では、分子軌道認証を説明するとともに、認証により明らかになった先進的な電子論的反応解釈を紹介する。


◆2021.11.24
2.3 溶液中における生体関連分子複合系の自由エネルギー解析 <再放送> 【講義資料】
松林 伸幸(大阪大学 基礎工学研究科 化学工学領域 教授)

 溶液中におけるタンパク質や脂質などの生体関連分子は、溶媒との分子間相互作用の下で構造を形成し機能を発現する。本講義では、分子シミュレーションと溶液統計力学理論の融合に基づく生体関連分子複合系の自由エネルギー解析を概説する。統計力学と分子シミュレーションの基礎から出発して、溶媒和理論の構成について述べ、タンパク質構造に対する共溶媒効果、タンパク質複合体の安定性、および、タンパク質-脂質膜相互作用の分子レベル解析に進む。


◆2021.12.1
2.4 分子モデリング・シミュレーションから見るクロマチンポテンシャル <配信のみ><再放送> 【講義資料】
河野 秀俊(量子科学技術研究開発機構 量子生命科学研究所 生体分子シミュレーショングループ グループリーダー)

 真核生物のゲノムはクロマチンとして細胞核にコンパクトに収納されている。その収納状態は、クロマチンの翻訳後修飾(エピジェネティックな変化)に応じて変化し、遺伝子の発現制御と密接な関係があることが分かってきた。本講義では、クロマチンの分子構造とそのダイナミクスについて、研究の最前線を紹介する。


◆2021.12.8
2.5 インシリコ創薬の基礎と応用 <配信のみ><再放送> 【講義資料】
広川 貴次(筑波大学医学医療系 教授)

 インシリコ創薬の代表的なアプローチであるLigand-based drug design(LBDD)およびStructure-based drug design(SBDD)について、基本的な内容及び、それぞれの長所や創薬支援に活用する際のポイントについて概説する。さらに応用事例についても国内外の先行研究をいくつか紹介したい。



第3編 未来をみすえた医療、創薬への応用

【参考図書】
 3.1
・Baillet, Sylvain, John C. Mosher, and Richard M. Leahy. "Electromagnetic brain mapping." IEEE Signal processing magazine 18.6 (2001): 14-30.
・宮内 哲, 「脳を測る」心理学評論, 2013, 56巻, 3号, p. 414-454
・Baillet,Sylvain. "Magnetoencephalography for brain electrophysiology and imaging." Nature neuroscience 20.3 (2017): 327-339.
 3.2
・Miguel Nicolelis, 「越境する脳 ブレイン・マシン・インターフェースの最前線」, 早川書房, 2011
・T. Yanagisawa et al., BCI training to move a virtual hand reduces phantom limb pain, Neurology, 95(4):e417-e426, 2020.
・T. Yanagisawa, et al., Induced sensorimotor brain plasticity controls pain in phantom limb patients, Nature Communications, 7, 13209, 2016
・Yanagisawa T, et al., Electrocorticographic control of a prosthetic arm in paralyzed patients, Annals of Neurology, 71 (3):353-61, 2021
 3.3
・日本核酸化学会(監修), 杉本直己(編集) , 「核酸科学ハンドブック」, 講談社, 2020
 3.4
・Bahaa Saleh (編集), 「Introduction to subsurface imaging」,Cambridge University Press, 2011
 3.5
・日本医療情報学会医療情報技師育成部会 (編集), 「医療情報 第6版 医療情報システム編」, 篠原出版新社, 2020
(3-5の講義内容は掲載されていません。医療情報システムの基礎的なことを理解する上での参考図書として)
 


◆2021.12.15
3.1 電流源推定を用いたヒト脳機能研究<配信のみ><再放送> 【講義資料】
山下 宙人(株式会社国際電気通信基礎技術研究所 脳情報通信総合研究所 室長/理化学研究所 革新知能統合研究センター チームリーダー)

 脳波・脳磁図(EEG・MEG) は聴覚検査やてんかん術前診断などの臨床応用だけでなく、ヒトの脳活動ダイナミクスを調べる方法として認知神経科学の基礎研究にも利用されてきた。近年、計測の多チャンネル化・計算機の高性能化・脳構造モデルの高精度化に伴い、EEG・MEGの生データから脳内の活動源をイメージングする“電流源推定法”の重要性が増してきている。本講義では、電流源推定法の研究動向、技術的背景、当研究チームで行っている最近の研究について解説する。



◆2022.1.12
3.2 Brain-Computer Interfaceによる脳情報の伝達と修飾<配信のみ><再放送> 【講義資料】
栁澤 琢史(大阪大学 高等共創研究院 教授)

 脳波などを機械学習によって解読(Decoding)し、その情報に基づいて機械を制御するBrain-Computer Interface (BCI)は、脳とAIを融合する技術でもある。特に、侵襲的脳信号を用いた高精度の脳情報解読によるBCIは医療応用が期待されている。本講義では、BCIの基礎から臨床応用の現状を説明し、BCIが脳に及ぼす影響について、幻肢痛に対するBCI治療を例として議論する。


◆2022.1.19
3.3 立体構造情報を活用した核酸医薬品・核酸標的低分子医薬品のデザイン<配信のみ><再放送> 【講義資料】
近藤 次郎(上智大学 理工学部 物質生命理工学科 准教授)

 DNAやRNAといった核酸分子は、医薬品としても、医薬品の標的としても、創薬分野で注目を集めている。核酸医薬品は低分子医薬品、タンパク質医薬品に次ぐニューモダリティとして次々と上市されている。また、タンパク質を標的としてきた従来の低分子医薬品を、核酸を新たな標的とすることで再利用する動きもある。本講義では、当研究室で行っている核酸の立体構造情報を活用したドラッグデザインについて紹介し、計算科学が関わる核酸創薬の将来展望についてお話したい。


◆2022.1.26
3.4 命を救う数式 <配信のみ><再放送> 【講義資料】
木村 建次郎(神戸大学数理・データサイエンスセンター 教授)

 病院にあるレントゲンやCTのような、強いエネルギーの電磁波ではなく、異なる物質の界面で大きく散乱する弱いエネルギーをもつ電磁波、すなわち散乱性の高い電磁波を使ってその散乱波から物体の形を導き出す『多重経路散乱場理論』の開発に世界で初めて成功した。この問題は“波動散乱逆問題”といわれ、応用数学史上の未解決問題として知られている。本講義では、その数学上の問題を解決し、スタートアップの創業として様々な分野に社会実装した経緯についてお話しする。


◆2022.2.2
3.5 有効なReal World Dataを集積するためのストラテジー <配信のみ><再放送> 【講義資料】
松村 泰志(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター 院長/大阪大学名誉教授・招聘教授(医療情報学担当))

 医療情報が電子化され、このデータを利用することで臨床研究に利用するコンセプトが打ち出され、海外では成功事例があり、国際的に注目されてきている。しかし、日本では目立った成功事例は出ていない。医療情報が電子化されたことと、これを研究利用可能とすることとの間にはギャップがあり、これを乗り越えなければReal World Dataを活用できるようにはならない。このギャップとは何か、どうすれば乗り越えることができるのかについて講義する。



申込方法

聴講無料

 受講の申込み(外部サイト)


受講方法

本講義は、Zoomを使ってインターネット上に配信されます。接続先が記載された招待メールは【前日】および【当日直前】に送信されます。招待メールが届かない場合やうまく接続出来ない場合は、神戸大学計算科学教育センター事務局(ls-contact[at]eccse.kobe-u.ac.jp)までお問合せください。※[at]は半角アットマークに置き換えて下さい。

講義会場での受講も可能ですが、<配信のみ>は講師所属先からの配信のため、会場での開催はありません。
 受講上の注意(PDF 880KB)

【配信テスト】
受講登録者向け配信テストを実施いたします。事前に一度アクセスしていただき、お使いのパソコン環境および通信状況等のご確認をお願いいたします。 アクセス用URLが記載された招待メールは「前日」に送信させていただきます。招待メールが届かない場合やうまく接続出来ない場合は、神戸大学計算科学教育センター事務局(ls-contact@eccse.kobe-u.ac.jp)までお問合せください。
・1回目配信テスト日時:9月22日(水)17:00-18:00
・2回目配信テスト日時:9月29日(水)17:00-18:00
※いずれか都合の良い日にご参加いただき、通信状況・接続方法のご確認をお願いいたします。

【再放送】
講師から許可を得ている講義のみ、下記の時間のみで再放送を行います。接続先は受講登録者(該当講義の受講申込者のみ)全員に送信します。
・配信日翌日の木曜日夕方16:30~金曜日昼12:00まで
※ただし、11/4(木)の講義は、11/8(月)夕方16:30~11/9(火)昼12:00まで
また、1/26(水)の講義は、終了後1週間後くらい(日時未定)の再放送となりますが、詳細は受講者全員に連絡します。

【会場受講での注意】
新型コロナウィルス感染防止のため、以下のガイドラインの遵守にご協力お願いします。
・発熱されている方、体調がよろしくない方は会場受講を避けて下さい。
・会場に受講者名簿を備えておりますので、お名前と所属のご記入をお願いします。
・来場時には必ずマスクをご着用ください。
・建物(神戸大学統合研究拠点)の入口に検温器と消毒液を設置しておりますので、ご利用ください。
・30分ごとに換気のため窓を開けさせていただきます。
・隣の方とは2m以上離れてご着席ください。
・会場前方に着席する場合、講師との距離は2m以上置くようにお願いします。

主催・共催・後援

【企画協力】 CBI学会日本バイオインフォマティクス学会
【共催】

神戸大学計算科学教育センター神戸大学産官学連携本部神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科医薬基盤・健康・栄養研究所京都大学 大学院医学研究科 ビッグデータ医科学分野計算科学振興財団日本生物学的精神医学会兵庫県立大学データ計算科学連携センター一般社団法人ライフインテリジェンスコンソーシアム理化学研究所 計算科学研究センター量子科学技術研究開発機構

【後援】 兵庫県、神戸市、神戸医療産業都市推進機構NPO法人バイオグリッドセンター関西日本薬学会

問い合わせ先

神戸大学計算科学教育センター事務局:ls-contact[at]eccse.kobe-u.ac.jp
※[at]は半角アットマークに置き換えて下さい。
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