研究概要

プロジェクトの目的

「プレシジョンメディスンを加速する創薬ビッグデータ統合システムの推進」
(課題代表:理化学研究所/京都大学大学院医学研究科 奥野 恭史)


「京」の125倍の実行性能向上に成功したGENESISを中核として「富岳」×「GENESIS」のスケールメリットを最大限生かし、1,000種の疾患関連遺伝子多型・変異がタンパク質のダイナミクスに与える影響を明らかにすることで分子病態解析、薬剤反応性推定、薬剤分子設計に関する知見を臨床現場、創薬現場に提供します。

図:「富岳」×「GENESIS」のスケールメリットを最大限生かし、分子病態解析、薬剤反応性推定、薬剤分子設計に関する知見を臨床現場、創薬現場に提供

近年、個人個人により最適な治療を提供するプレシジョンメディスン(Precision Medicine)が最先端医療の一つとして注目されています。わが国でも、患者のゲノムを解析し、がんの治療薬の選択や希少難病の診断につなげるゲノム医療として、研究開発および臨床実装が進められています。しかしながら、患者のゲノム解析を行い、患者固有のゲノム配列(遺伝子多型・変異)が明らかになっても、特定された遺伝子配列の90%以上は臨床的意義が不明であり、10%未満の解釈可能な遺伝子多型・変異のみで治療選択を行っているのが現状です。すなわち、臨床現場では患者のゲノム配列を解析するだけでは不十分であり、ゲノム配列の臨床的意義を解明することがプレシジョンメディスンにおける世界共通の基本的課題となっています。そこで本研究では、ポスト「京」重点課題1のプロジェクトで「富岳」のために開発してきたGENESIS、創薬ビッグデータ統合システムを用いることで、患者由来の遺伝子多型・変異が、タンパク質の構造やダイナミクスに与える影響を分子シミュレーションより明らかにします。これによって得られた分子レベルでの病態解明・薬剤反応性・薬剤設計に関する知見を臨床現場、創薬現場に提供することで、プレシジョンメディスンの加速を目指します。

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