研究体制と課題構成
「プレシジョンメディスンを加速する創薬ビッグデータ統合システムの推進」(課題代表:理化学研究所/京都大学大学院医学研究科 奥野 恭史)
本研究は、重点課題1において「富岳」のために開発してきたGENESIS、創薬ビッグデータ統合システムを「富岳」実機に実践投入し、プレシジョンメディスン・創薬において成果創出を目指し、①分子病態解析、②薬剤反応性推定、③薬剤分子の「富岳」を用いた分子シミュレーションを実施する3グループ7チームと、④AI・データサイエンスと社会実装の3チームの合計4グループ10チームで構成します。
「富岳」のパワーを創薬に直結する研究体制
研究課題構成
「富岳」のために開発を進め、「京」の125倍の実行性能向上に成功した「GENESIS」を中核として、「富岳」×「GENESIS」のスケールメリットを最大限生かし、1,000種の疾患関連遺伝子多型・変異に対するタンパク質構造レベルでの①分子病態解析、②薬剤反応性推定、③薬剤分子設計を実施します。それらの知見をもとにAI・データサイエンスの技術を「富岳」による分子シミュレーションと組み合わせ、④AI・データサイエンス・社会実装基盤を構築することにより世界を圧倒する創薬計算を実現し、プレシジョンメディスンの加速を目指します。
①分子病態解析
変異によるタンパク質の構造、安定性、活性の変化を推定し、病態との関連を解析する。
①-1 動的構造機能解析(横浜市立大学 生命医科学研究科 池口 満徳)
①-2 タンパク質活性予測(京都大学 大学院理学研究科 林 重彦)
②薬剤反応性推定
変異によるタンパク質と薬剤の反応性の変化を推定し、患者に最適な薬剤治療の指針を提案する。
②-1 結合自由エネルギー計算(京都大学大学院医学研究科 奥野 恭史)
②-2 結合経路・ポーズ推定(理化学研究所 生命機能科学研究センター 杉田 有治)
②-3 結合速度論解析(東京工業大学 生命理工学院 北尾 彰朗)
③薬剤分子設計
希少疾患、薬剤耐性腫瘍などを対象にした精密な薬剤分子設計を実現する 。
③-1 低分子デザイン(産業技術総合研究所 生命工学領域 、筑波大学 医学医療系 広川 貴次)
③-2 抗体医薬(東京大学 先端科学技術研究センター 山下 雄史)
④AI・データサイエンス社会実装
④-1 疾患ゲノム構造機能データベース(京都大学大学院医学研究科 鎌田 真由美)
④-2 AI・シミュレーション融合(横浜市立大学生命医科学研究科 寺山 慧)
④-3 創薬ビッグデータ統合システム(理化学研究所 計算科学研究センター HPC/AI駆動型医薬プラットフォーム部門 本間 光貴)