広報・アウトリーチ活動

計算生命科学の基礎Ⅶ(2020)

生命科学と理工学の接点をなす計算生命科学の研究を進めていくための基礎講座として神戸大学計算科学教育センターなどと連携し、学生、大学院生、社会人を対象とした連続講座を公開します。
講義は神戸大学計算科学教育センターより配信し、どこからでも無料でインターネット受講が可能です。

計算生命科学の基礎7(2020)講義の詳細
  チラシ:計算生命科学の基礎Ⅶ
チラシ:『計算生命科学の基礎Ⅶ』(PDF 600KB)


【申込み】
受講登録は神戸大学計算科学教育センター登録ページからお申込みください。
これまでの講義の様子はアーカイブサイトFacebookでご覧いただけます。

◆下記「講義内容」でお知らせしている講義資料をご覧になるには、事前登録によるパスワードが必要です。
講義資料は講義の前日までに掲載します。


【配信テスト】
受講登録者向け配信テストを実施いたします。事前に一度アクセスしていただき、お使いのパソコン環境および通信状況等のご確認をお願いいたします。登録者には事前に招待メールが届きます。
【1回目配信テスト日時】9月23日(水)17:00-18:00
【2回目配信テスト日時】9月30日(水)17:00-18:00
いずれかご都合の良い日に参加してください。

【受講方法】
講義は神戸大学計算科学教育センターで行います。また、インターネットを通じて中継する会議システムWebEXを使用して配信をします。申込みをすれば直接セミナー室で受講する以外にどこからでもオンライン受講が可能です。

【会場受講での注意】
新型コロナウィルス感染防止のため、以下のガイドラインの遵守にご協力お願いします。
・発熱されている方、体調がよろしくない方は会場受講を避けて下さい。
・会場に受講者名簿を備えておりますので、お名前と所属のご記入をお願いします。
・来場時には必ずマスクをご着用ください。
・会場入口に消毒液を設置しておりますので、ご利用ください。
・30分ごとに換気のため窓を開けさせていただきます。
・隣の方とは2m以上離れてご着席ください。
・会場前方に着席する場合、講師との距離は2m以上置くようにお願いします。

計算生命科学の基礎Ⅶ(2020) 
生命科学のためのシミュレーション技術とデータサイエンス:基礎から医療と人工知能の融合領域へ[全15回]

日程

2020/10/7~ 2021/2/3 毎週水曜日 17:00~18:30
(2020/10/7、11/11、12/9は講義開始後10分程度、コーディネータより各編の概要説明があるため、終了は18:40ごろとなります。)
■講義スケジュール■
 講義日  講義タイトル  担当講師
 第1編 生命のデータサイエンスの基礎
 10月7日  代謝ネットワーク解析:基礎と応用  竹本 和広
(九州工業大学 大学院情報工学研究院 生命化学情報工学研究系 准教授)
 10月14日  機械学習・深層学習と生命科学  中村 周吾(東洋大学 情報連携学部 教授)
 10月21日  タンパク質構造インフォマティクス基礎  富井 健太郎
(産業技術総合研究所 人工知能研究センター 研究チーム長)
 10月28日  質量分析インフォマティクスの基礎  有田 正規(情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所 教授)
 11月4日  細胞レベルでの解体新書「シングルセルゲノミクス」  渡辺 亮(京都大学 大学院医学研究科 特定准教授)
 第2編 構造生命科学のための分子シミュレーション
 11月11日  新型コロナウイルス感染症治療薬探索を目指したシミュレーションと機械学習  関嶋 政和(東京工業大学 情報理工学院 准教授)
 11月18日  Analysis of antibody-antigen interactions from sequence data  Standley, Daron(大阪大学微生物病研究所 教授)
 11月25日  分子シミュレーションを活用したインシリコ創薬支援  広川 貴次
(産業技術総合研究所 上級主任研究員/筑波大学 教授)
 12月2日  分子シミュレーションと計測データの融合  高田 彰二(京都大学 大学院理学研究科 教授)
 第3編 医療と人工知能の融合領域
 12月9日  計算によって「何かが説明できる」という信念が迫り来る未知のウイルスに出会ったとき  緒方 法親(株式会社日本バイオデータ 代表取締役/次世代バイオ医薬品製造技術研究組合 事業部 顧問(ゲノム技術))
 12月16日  AI医療の最新活用事例  上田 修功(理化学研究所 革新知能統合研究センター 副センター長)
 1月13日  自然言語処理が拓く医療AIの未来  荒牧 英治(奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 教授)
 1月20日  運動意図推定とロボットリハビリテーション  森本 淳(理化学研究所 ロボティクスプロジェクト 人間機械協調研究チーム チームリーダー)
 1月27日  抗体医薬の分子デザインに叶う計算生命科学の可能性  鎌田 春彦(医薬基盤・健康・栄養研究所 創薬デザイン研究センター バイオ創薬プロジェクト プロジェクトリーダー)
 2月3日  AIの医療応用における規制・責任・品質論  鎮西 清行(産業技術総合研究所 健康医工学研究部門 副研究部門長)

場所

神戸大学計算科学教育センター セミナー室208(神戸大学統合研究拠点2階)
〒650-0047 兵庫県神戸市中央区港島南町7丁目1番48 ポートライナー「京コンピュータ前」駅下車すぐ
(学外からはインターネットによる受講が可能)

対象

大学生、大学院生、ポスドク、大学教員、研究所・企業の研究者

講義趣旨

生命科学は、計算科学(シミュレーション・統計学・構造科学・ディープラーニング・AIなど)が融合することにより、加速的に発展しつつあります。さらに、この知識の融合は「計算生命科学」として、創薬分野、農学や医学、健康関連分野に多様性をもたらし、アカデミア・産業界のイノベーションの推進力となっています。本講義では、バイオインフォマティクス、生命科学データベース、統計学およびシミュレーション科学そしてAIやディープラーニングの活用など多岐にわたる入門的な講義を配信してきました。7年目を迎える今年度は「生命科学のためのシミュレーション技術とデータサイエンス:基礎から医療と人工知能の融合領域へ」と題して、生命のデータサイエンスの基礎に始まり、分子シミュレーション、AIを医療分野に活用している最新事例を取り上げます。日本バイオインフォマティクス学会・CBI学会の企画協力を得て、生命科学と理工学の学際研究領域である計算生命科学に興味を持たれる方々に、その現状と将来の展望を学んで頂くとともに、異分野間の接点や融合研究の面白さを感じていただくことで、この学際的研究分野で活躍する人材の拡充・育成に寄与することを目指しています。

担当講師

竹本 和広(九州工業大学 大学院情報工学研究院 生命化学情報工学研究系 准教授)
中村 周吾(東洋大学 情報連携学部 教授)
富井 健太郎(産総研人工知能研究センター 研究チーム長)
有田 正規(情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所 教授)
渡辺 亮(京都大学 大学院医学研究科 特定准教授)
関嶋 政和(東京工業大学 情報理工学院 准教授)
Standley, Daron(大阪大学 微生物病研究所 教授)
広川 貴次(産業技術総合研究所 上級主任研究員/筑波大学 教授)
高田 彰二(京都大学 大学院理学研究科 教授)
緒方 法親(株式会社日本バイオデータ 代表取締役/次世代バイオ医薬品製造技術研究組合 事業部 顧問(ゲノム技術))
上田 修功(理化学研究所 革新知能統合研究センター 副センター長)
荒牧 英治(奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 情報科学領域 教授)
森本 淳(理化学研究所 バトンゾーン推進研究プログラム ロボティクスプロジェクト 人間機械協調研究チーム チームリーダー)
鎌田 春彦(医薬基盤・健康・栄養研究所 創薬デザイン研究センター バイオ創薬プロジ ェクト プロジェクトリーダー)
鎮西 清行(産業技術総合研究所 健康医工学研究部門 副研究部門長)


コーディネーター

伊藤 眞里(医薬基盤・健康・栄養研究所 バイオインフォマティクスプロジェクト 上席研究員)
江口 至洋(神戸大学産官学連携本部 客員教授)
河野 秀俊(量子科学技術研究開発機構 量子生命科学領域 生体分子シミュレーショングループ グループリーダー)
白井 剛(長浜バイオ大学バイオサイエンス学部フロンティアバイオサイエンス学科 教授)
田中 成典(神戸大学大学院システム情報学研究科 教授)
八幡 憲明(量子科学技術研究開発機構 量子生命科学領域 量子生命情報科学グループ グループリーダー)
森 一郎(神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科 特命教授)
森 義治(神戸大学大学院システム情報学研究科 講師)

講義内容


第1編 医療関係のデータサイエンスから社会実装まで

【参考図書】
 1. アルバート・ラズロ バラバシ (池田裕一ら訳), 「ネットワーク科学」 共立出版, 2019(原著オンライン版http://networksciencebook.com)
 2. Takemoto, K. Current understanding of the formation and adaptation of metabolic systems based on network theory. Metabolites, vol. 2, issue 3, pp. 429-457 (2012).
 3. 江口至洋, 「細胞のシステム生物学」共立出版, 2008
 4. 長田直樹,「進化で読み解く バイオインフォマティクス入門」森北出版, 2019
 5. Raschka, Mirjalili著, 福島監訳,「Python機械学習プログラミング 達人データサイエンティストによる理論と実践」インプレス, 2018
 6. 齊藤和季, 「植物メタボロミクス-ゲノムから解読する植物化学成分-(シリーズ・生命の神秘と不思議)」 裳華房,2019
 7. 解説シリーズ「基礎から学ぶマススペクトロメトリー/質量分析の源流」MSSJウェブ公開 http://www.mssj.jp/publications/journal_jp/kaisetsu_series_01.html
 8. J.H. Gross, 「マススペクトロメトリー 原書3版(日本語版)」 丸善出版, 2020
 9.「週刊 医学のあゆみ メタボローム解析UPDATE」270巻5号,2019
 10. 質量分析インフォマティクス研究会 http://ms-bio.info/index.html
 11. 渡辺亮・鈴木穣編, 「シングルセルゲノミクス実験医学増刊 Vol.37 No.20」羊土社,2019


◆2020.10.7
「代謝ネットワーク解析:基礎と応用」 【講義資料】 
竹本 和広(九州工業大学 大学院情報工学研究院 生命化学情報工学研究系 准教授)

 代謝は一連の生化学反応の総称であり、学術的側面はもちろんのこと医学・農学・環境学などの応用的側面においても興味深い。特に、代謝はしばしばネットワークの視点から解析される。ここでは、そのような代謝ネットワーク解析について紹介する。基礎から始め近年の動向についても紹介する。特に、進化解析、メタボローム相関ネットワーク解析、標的化合物合成経路の列挙・探索、未知反応経路予測、Reverse Ecologyなどについて触れる。


◆2020.10.14
「機械学習・深層学習と生命科学」 【講義資料】 
中村 周吾(東洋大学 情報連携学部 教授)

 生命科学分野では、ヒトゲノム計画を端緒として、他分野に先駆けてビッグデータ時代を迎え、ゲノム塩基配列やアミノ酸配列に機械学習・深層学習の方法を適用するインフォマティクス解析、分子構造を対象としたシミュレーション解析などが行われてきた。本講義では、社会全体に急速に応用が広がっている機械学習・深層学習の方法の原理と、それがタンパク質のアミノ酸・立体構造の解析にどのように応用されているのかを、実例を交えて紹介する。


◆2020.10.21
「タンパク質構造インフォマティクス基礎」 【講義資料】
富井 健太郎(産業技術総合研究所 人工知能研究センター 研究チーム長)

 タンパク質の配列・立体構造データの蓄積に伴い、データ駆動型アプローチの重要性がますます高まってきている。本講義では、タンパク質立体構造の全体的および局所的比較を軸に、構造インフォマティクス技術の基礎と役割を紹介する。また応用事例として、産総研人工知能研究センターで開発しているデータベースなどを紹介する。


◆2020.10.28
「質量分析インフォマティクスの基礎」 【講義資料】
有田 正規(情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所 教授)

 メタボローム解析、メタボロミクス、リピドミクスと呼ばれる分野では、スペクトルの抽出、検索、代謝物の同定等において計算機をフル活用する。しかしゲノム解析に比較すると未整備な部分が多く、分野の概観が難しい。本講義では、質量分析の仕組み、化合物構造の表現方法、同定の基準など、基本的な情報解析の流れを解説する。NMRによる解析には触れず、タンデム質量分析計に基づいた解析を中心に紹介する。


◆2020.11.4
「細胞レベルでの解体新書「シングルセルゲノミクス」」 【講義資料】 
渡辺 亮(京都大学 大学院医学研究科 特定准教授)

 シングルセルゲノミクスは、従来の組織学的な細胞分類では見えなかった新規の細胞種の同定を可能にし、ヒトの初期発生など入手困難なサンプルにおける細胞状態の変化を明らかにしている。複数の細胞状態への変化を検出することで分化の分岐点を決定し、我々の体をつくりだす細胞運命決定機構の分子メカニズムに迫ることができる。さらに、シングルセルレベルでのTCR/BCRの配列決定法が従来のレパトア法にとって変わろうとしている。本講義ではシングルセル解析の現状を紹介する。



第2編 構造生命科学のための分子シミュレーション

【参考図書】
 1. R. Yoshino et al.,"In silico, in vitro, X-ray crystallography, and integrated strategies for discovering spermidine synthase inhibitors for Chagas disease", Scientific Reports, 7, doi:10.1038/s41598-017-06411-9, 2017.
 2. N. Yasuo and M. Sekijima, "Improved Method of Structure-Based Virtual Screening via Interaction-Energy-Based Learning", Journal of Chemical Information and Modeling, 59 (3), pp. 1050-1061,DOI: 10.1021/acs.jcim.8b00673 , 2019.
 3. Repertoire Builder: high-throughput structural modeling of B and T cell receptors https://pubs.rsc.org/en/content/articlehtml/2019/me/c9me00020h
 4. 樋口知之 編著,「データ同化入門 ―次世代のシミュレーション技術―」朝倉書店,2011
 5. C.M.ビショップ,「パターン認識と機械学習(上,下)」丸善出版,2012

◆2020.11.11
「新型コロナウイルス感染症治療薬探索を目指したシミュレーションと機械学習」 【講義資料】  
関嶋 政和(東京工業大学 情報理工学院 准教授)

 現在、新型コロナウイルス感染症は、世界的に大きな問題になってきている。小康状態に仮に落ち着いたとしても、第2波や、SARS-CoV-3のような更に新しいコロナウイルスが広がる可能性も考えられる。COVID-19のような感染症には、長い時間かけた準備が出来ないため、リポジショニングのような、既に知られている薬剤の転用が、重要であるが、我々は、このような時代に、どのようなシミュレーション手法と機械学習手法が貢献可能なを実例と共に考えてみたい。


◆2020.11.18
「Analysis of antibody-antigen interactions from sequence data」 【講義資料】
Standley, Daron(大阪大学微生物病研究所 教授)

Antibodies are the soluble portion of B cell receptors (BCRs). Since antibodies are a critical part of our immune system’s defense against disease, there is growing interest in identifying BCR sequences associated with specific disease-related antigens. In the recent COVID-19 pandemic, for example, a number of groups reported antibody sequences against the SARS-CoV-2 spike protein within months of the outbreak (Brouwer, et al., 2020; Cao, et al., 2020; Chi, et al., 2020). Structure determination of antibody-antigen complexes is a low throughput task, so there is a need for computational methods that can characterize the epitopes of disease-specific antibodies from sequence information alone.


◆2020.11.25
「分子シミュレーションを活用したインシリコ創薬支援」 【講義資料】
広川 貴次(産業技術総合研究所 上級主任研究員/筑波大学 教授)

 クライオ電顕をはじめとするタンパク質立体構造解析技術の発展により、構造データを起点とした創薬支援研究が再び注目されてきている。しかし、構造データの中には、特定の条件や環境に依存した構造情報もあり、そのままのデータでは創薬へ適用が難しいものがある。分子シミュレーションは、このような問題を補完できる技術として注目されている。講義では、構造データと創薬を橋渡しする高度なインシリコ創薬支援技術について基礎と応用事例について紹介する。


◆2020.12.2
「分子シミュレーションと計測データの融合」 【講義資料】
高田 彰二(京都大学 大学院理学研究科 教授)

 今日、分子シミュレーションはタンパク質等の分子動態研究・創薬研究の一方法として普及している。しかし、シミュレーションが実験にとって代わるわけではない。むしろ実験データと融合することで分子シミュレーションは更に役に立つ。その一般的枠組みは,ベイズ統計学に基づいたモデル構築(ベイズモデリング、機械学習のひとつ)によって与えられる。講義では、その枠組みを概説し、具体例を紹介する。



第3編 医療と人工知能の融合領域

【参考図書】
 1. 「動物誌(上) アリストテレス全集8」,p.156, p.158,岩波書店,2015 
 2. デイヴィッド・サルツブルグ,「統計学を拓いた異才たち 経験則から科学へ進展した一世紀」日本経済新聞出版(日経ビジネス人文庫),2010
 3. NGS(Illumina) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18516045/
 4. Cryo-EM https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27238019/
 5. NGS(PacBio) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31609423/
 6. Pubmed Central https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/
 7. DDBJ SRA https://www.ddbj.nig.ac.jp/dra/index.html
 8. biorxivの投稿 https://doi.org/10.1101/542647
 9. コロナのプレプリント https://arxiv.org/abs/2002.08802
 10. 事例リスト https://researchmap.jp/n0rr
 11. 石井健一郎、上田修功,「続・わかりやすいパターン認識(教師無し学習入門)」 オーム社,2014
 12. Pang-Ning Tan,Michael Steinbach,Anuj Karpatne,Vipin Kumar,"Introduction to Data Mining (2nd Edition) (What's New in Computer Science) ",Person press,2018
 13. 荒牧英治,「医療言語処理」コロナ社,2017
 14. 里宇明元、牛場潤一 監修, 「神経科学の最前線とリハビリテーション―脳の可塑性と運動」医歯薬出版株式会社,2015
 15. 津本浩平 企画,「標的に抗体が結合できる部位はいくつあるか?」実験医学 2018年7月号 Vol.36 No.11,1867-1874. ,2018
 16. 藤田 広志 監修、藤田 広志 編,「医用画像ディープラーニング入門(医療AIとディープラーニングシリーズ)」オーム社,2019


◆2020.12.9
「計算によって「何かが説明できる」という信念が迫り来る未知のウイルスに出会ったとき」 【講義資料】
緒方 法親(株式会社日本バイオデータ 代表取締役/次世代バイオ医薬品製造技術研究組合 事業部 顧問(ゲノム技術))

 計算は古来より生命科学に貢献してきた。アリストテレスは家畜乳の成分比較に計算を用いたし1、統計学・検定はフィッシャーが農場で開発したもの2である。それでも計算生命科学に新鮮味があるのは、測定装置の飛躍的な性能向上によって生命科学における計算の重要性が増したからだろう3,4,5。データがシェアされる今日6,7では、居間で計算することによって動物研究の再現性を植物で調べ8、新興ウイルスの性質を調べることができる9。講義では事例と共に計算生命科学発展のカギを探る10。 (文中の番号は、上記参考図書を参照)


    講義内容以外の参考図書

◆2020.12.16
「AI医療の最新活用事例」 【講義資料】
上田 修功(理化学研究所 革新知能統合研究センター 副センター長)

 近年、AI(機械学習)技術は、工学のみならず、自然科学、社会科学分野においても多用され、AI技術への関心が高まっている。本講義では、AI技術の医療応用に関し、我々が取り組んでいる最新の活用事例である、前立腺癌の術後の再発予測手法、および、創薬ターゲット探索のための患者層別化手法について紹介する。具体的には、両者で用いているAI技術の詳細を各々説明し、その有用性を紹介する。


◆2021.1.13
「自然言語処理が拓く医療AIの未来」 【講義資料】
荒牧 英治(奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 教授)

 今、医療現場が変わりつつある。電子カルテに集積される医療ビッグデータ、それを用いた人工知能による診断支援、さらには、スマートフォンやスマートスピーカといった新たなデバイスからの患者情報など、様々な材料、技術が登場している。しかし、生成される多様なデータの相当な部分は自然言語文であり、今後もそれはただちに変わりそうにない。つまり、医療データの利活用には、この自然言語文を扱う技術が必須となる。講義では、カルテビッグデータを用いた診断支援、つぶやきを用いた感染症流行推定、スマートデバイスで患者の声を集める試みなど、進行中の研究テーマの概要を具体的にご説明し、議論したい。


◆2021.1.20
「運動意図推定とロボットリハビリテーション」 【講義資料】
森本 淳(理化学研究所 ロボティクスプロジェクト 人間機械協調研究チーム チームリーダー)

 少子高齢化の社会的背景から、日本をはじめとした先進諸国においてロボティクス技術を用いた運動アシストシステムの開発が盛んとなっている。ここでは、外骨格ロボットをはじめとした運動アシスト技術のこれまでの発展を概説するとともに、私たちの研究グループにおける、運動意図推定手法をはじめとした研究開発やリハビリテーション応用の活動について紹介する。


◆2021.1.27
「抗体医薬の分子デザインに叶う計算生命科学の可能性」 【講義資料】
鎌田 春彦(医薬基盤・健康・栄養研究所 創薬デザイン研究センター バイオ創薬プロジェクト プロジェクトリーダー)

 現在、中和活性や細胞傷害活性などの、様々な機能を持つ抗体が画期的な効果を示す医薬品として臨床応用されている。本講義では、これまで開発されてきたバイオ医薬の背景について解説するとともに、バイオ医薬として展開が大いに期待されている機能抗体をいかにデザインするか、それを実現するための計算科学の可能性について議論したい。


◆2021.2.3
「AIの医療応用における規制・責任・品質論」 【講義資料】
鎮西 清行(産業技術総合研究所 健康医工学研究部門 副研究部門長)

 機械学習の医療応用が始まっている。企業による製品開発への応用だけでなく、自身でディープラーニングを試してみたいドクターも多数いる。この講義では、製品開発または研究開発そして臨床試用に際して知っておくべき規制や法的事項の概要と、関連する責任や品質について学ぶ。ソフトウェアの品質、連続的に変化する機械学習アルゴリズムと規制要求の関係、令和元年改正薬機法の新制度などにつき紹介する。


申込方法

聴講無料

 受講の申込み(外部サイト)


受講方法

講義は神戸大学計算科学教育センターで行います。また、インターネットを通じて中継する会議システムWebEXを使用して配信をします。申込みをすれば直接セミナー室で受講する以外にどこからでもオンライ受講が可能です。
 受講上の注意(PDF)
 Webex接続方法(PDF)
詳細は神戸大学計算科学教育センターのホームページをご覧ください。

【配信テスト】
受講登録者向け配信テストを実施いたします。事前に一度アクセスしていただき、お使いのパソコン環境および通信状況等のご確認をお願いいたします。 アクセス用URLが記載された招待メールは「前日」に送信させていただきます。招待メールが届かない場合やうまく接続出来ない場合は、神戸大学計算科学教育センター事務局(ls-contact@eccse.kobe-u.ac.jp)までお問合せください。
【1回目配信テスト日時】9月23日(水)17:00-18:00
【2回目配信テスト日時】9月30日(水)17:00-18:00
※いずれか都合の良い日にご参加いただき、通信状況・接続方法のご確認をお願いいたします。

主催・共催・後援

【企画協力】 CBI学会、日本バイオインフォマティクス学会
【共催】

神戸大学計算科学教育センター、神戸大学産官学連携本部、神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科、京都大学大学院 医学研究科ビッグデータ医科学分野、計算科学振興財団、産業技術総合研究所 細胞分子工学研究部門、兵庫県立大学大学院 シミュレーション学研究科、理化学研究所 医科学イノベーションハブ推進プログラム、理化学研究所 計算科学研究センター、 量子科学技術研究開発機構

【後援】 兵庫県、神戸市、神戸医療産業都市推進機構、NPO法人バイオグリッドセンター関西
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