サブ課題C:創薬ビッグデータ統合システムの開発
サブ課題Cの概要
医薬品開発プロセスにおいて、計算技術の利活用が最も期待されている工程は、「化合物ライブラリーから疾患原因タンパク質に結合し制御する化合物を探索するスクリーニング段階」と、「スクリーニングで特定した候補化合物の活性向上と副作用回避を目指して化学構造を変換するリード最適化段階」です。製薬現場では市販のソフトなどを用いて候補化合物の探索や分子デザインがなされていますが、予測精度の低さや評価できる化合物数・標的タンパク質数の限界などの問題から、実際の実験に置き換わるほどの革新的技術に至っていません。
そこで本サブ課題では、他のサブ課題AとB(ポスト京でのMD高度化とアルゴリズム深化、次世代創薬計算技術の開発)でポスト「京」に対してチューンナップされたMD計算ソフトおよび創薬計算手法を、創薬計算フロー(スクリーニングからリード最適化)にそって連結した統合システムの開発を目指します。また、ポスト「京」のスケールメリットを最大に活かし、多数の創薬関連タンパク質(副作用関連タンパク質を含む)やそれらの分子ネットワークと化合物ライブラリーとの膨大な組合せから最適解を高速に計算し、ベストな医薬品候補化合物を自動でデザインできる創薬計算基盤を構築し、製薬会社に提供することを目的とします。
サブ課題C責任者
奥野 恭史
創薬ビッグデータ統合システムのフロー
3.創薬関連ビッグデータ |
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機械学習技術とドッキングシミュレーションの融合により、大規模な候補化合物と複数の創薬関連タンパク質の膨大な組み合わせから、ベストな医薬品候補化合物を高精度かつ超高速に予測できる統合システムの開発を行います。 |
・・・東京大学 大学院新領域創成科学研究科 津田 宏治 |
4.標的分子ネットワーク |
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分子ネットワーク上で形成されるタンパク質複合体の立体構造予測・作用機構を解明します。大規模シミュレーション法と相互作用エネルギー評価によって予測される複合体立体構造と作用機構から最適な創薬ターゲットを選択する技術の開発を行います。 |
・・・東京工業大学 生命理工学院 北尾 彰朗 |
5.生体系マルチスケールモデリング |
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分子シミュレーションに基づき、電位依存性イオンチャネルの動作モデルと薬剤による阻害モデルを確立します。これらのモデルを心臓シミュレータUT-Heartに取り込むことで、個人ゲノムに基づく不整脈予測や、薬剤の心毒性予測への応用を目指します。 |
・・・東京大学 大学院農学生命科学研究科 寺田 透 |
サブ課題Cの主な研究開発の内容と成果
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